新型コロナウィルスへの対応や働き方改革の流れの中で、我が国でも週休3日に移行する大企業が出てきました。本日の日経新聞でも、私たちと特に身近な企業である(株)東芝さんも週休3日制に移行すると報道されています。このこと自体は、本当に有難く、心より敬意と感謝の念を申し上げます。私の最も尊敬する技術者も(株)東芝の方々でした(です)。
一方、私たちは、これまで何度も週休3日制への移行をお願いしてきました。2017年出版の拙著「原子力安全文化の実装」でも、このコラムでも、研修の場でも・・・、何回も申し上げてきたように、週休3日の目的は、”人材育成”です。
企業経営の基本は人材育成ですし、特に、原子力安全を確保するための大前提は優秀な人材です。「設備の優秀さ」は、あくまでも(再)稼働の条件であり、単に、国の安全基準をクリアしただけというものです。国の安全基準をクリアしたからといって、安全が確保される訳ではありません。
将来にわたって原子力安全を確保しようとするならば、すべての関係者が「エクセレンス」を目指す必要があり、これは、”終わりなき人材育成の旅路”を意味します。
例えば、土、日、月の3日を休業日とする場合、新たな休業日である月曜日の労働時間を他の就業日に振り替えたとすれば、それでは生産性が上がったことにはなりません。仮に、1日8時間労働とするならば、週休3日であっても生産性を上げることによって、できるだけ8時間労働に近づけることが基本です。勿論、基本給は可能な限り下げないようにします(生産性が上がっているのですから当然ですね)。さらに、残業は極力少なくします。その上で、休業日となる月曜日は”人材育成の日”として、月に何回かは、休日出勤手当で人材育成や会議に充てるというものです。
我が国においては、原子力施設に限らず、就業時間内に研修することが一般的ですが、それは、一番大切な現場や部下を放っぽり出していることを意味します。先進諸国の原子力関係者からみると、(厳しい言い方になってしまいますが)”まだまだ”なのです。研修や会議は、携帯電話を持たず(自席やロッカーにしまって)、真剣に、楽しく行わなければなりません。
繰り返しとなりますが、何より重要なことは「生産性の向上」です。
だからこそ、仕事に重要度をつけることが必須であり、「重要度にふさわしい注意を払いなさい」とIAEAのINSAG4には書いてあり、そのためのマネジメントとして、「良好な態度と行動を作り込みなさい」とINSAG13には書いてあるのです。
私たちが目指す週休3日は、まだまだ、とても遠いところにあるように思えますが、それでも目指さなければなりません。それが宿命なのです。
最後になりますが、今般の緊急事態の宣言下、医療関係者のみならず、このような厳しい状況にあっても粉骨砕身ご苦労されている物流網の皆様、コンビニやスーパーのレジで重装備で対応してくださっているパート社員の皆さま、様々なお仕事で今日も現場を支えてくださっているすべての皆さまには感謝が絶えません。本当にありがとうございます。
どうかご安全に。