先日、仕事で逗子(横須賀)に行きました。
逗子駅から訪問先までタクシーに乗車した際、タクシーの運転手さんは、すれ違うほぼすべてのタクシー間で簡単な挨拶を交わしていました。
会社が異なるのに、なぜ挨拶をするのか不思議に思い尋ねたところ、こんな答えが返ってきました。
「逗子周辺には、各社のタクシーを合わせても100台程度しかないので、みんな顔見知りです。もちろん、余裕をもって周りに目を向けることで安全が向上するという理由もありますが、一番は、何かあったときに頼りになるのは同業者だからです。交通事故はもちろん、暴力に巻き込まれたときも助け合い、目を光らせ合うのが逗子です。休日は、野球大会やレクリエーションなど、会社をまたいでの交流も盛んです」
安全は、何かを行えば、それをもって確保されるというものではありません。あの手この手で、何重もの安全対策を講じてもなお、リスクは残ります。一般には、これを「残余のリスク」といいます。
見えないリスク(残余のリスク)が小さいとは限りませんし、福島事故の経験などからは、むしろ大きいと考えられます。
リスクを極小化する努力を行うとしても、タクシーの運転手さんにとって、予期しない変化により交通事故にあったり、暴力に巻き込まれることは(可能性は千差万別としても)避け難い事実なのです。
残余のリスクが無視できないことを誰よりも知っているからこそ、挨拶という「正しい行動」に置き換えて、それに対処しようとしていたのです。
実は、同じような経験は、バスでもあります。
これらの行動は、私たちが得意とするマネジメントオブザベーション(ビヘイビア・マネジメント)そのものであり、理論的には、「すれ違い」という特に重要なポイントを、「挨拶」という正しい行動で、マネジメントしていると整理できます。
マネジメントオブザベーション(MO)というマネジメント手法の適用範囲の広さを、改めて感じた一日でした。
皆様、今日も一日ご安全に。