6月15日の日経朝刊に、米ギャラップ社が調査した2022年エンゲージメント調査結果が掲載されました。
「日本は5%」「米国は34%」「世界平均は21年度比2ポイント上昇し23%」で、日本は、調査した145カ国の中でイタリアと並び最も低かったとのことです。
MO研修でいつもお話しさせて頂いているように、日本は2017年が6%でしたので、コロナ禍を経て、さらに1ポイント低下しています。
ギャラップ社のCEO(フリフトン氏)のインタビュー記事では、「経営陣がエンゲージメントを高めるための管理手法を使ったり教えていない」「管理職に対する十分な研修もなされていない」ことが原因で、これを改善するために「普段からよく社員と対話すること」「いい仕事をしたら褒めること」「社員一人ひとりの強みを生かしていくこと」「何を期待しているか分からないような指示ではダメで、コミュニケーションの質の向上も必要」と答えられています。
一方、米国では21年の35%より1ポイント下がっていることに対しては、「リモートワークや、出社と在宅勤務を組み合わせたハイブリットワークの広がりにはある種のパラドックス(逆説)があるのではないか」「柔軟に働ける社員にとっては家族と過ごしたり、運動したりする時間が増えて生活にはよいが、仕事の面ではマイナスの影響を受けているということだ」とされており、「オンライン会議サービスを使ってやる経営管理は難しい」としています。
さて、当社がお世話になっている企業様のエンゲージメント調査では、独自調査(質問内容も多く、調査方法は異なりますが)にはなりますが、高いレベルに達していますので(まだまだ向上の余地はありますが)、我が国の原子力が進んでいる方向性は間違っていないと思います。
さらにいえば、エンゲージメント調査において、他社(他国)との比較は重要ではないというのが当社の考え方です。結果をスタート点にして、その結果にどう向き合って、どのように改善していくのか、その旅路が重要ということです。
原子力安全を確保するためには、設備の安全性の向上と、人財の育成の両輪が必要です。どちらも青天井の目標に向かって、常に積み上げていくことが重要です。それをエクセレンスといいます。
他国、他社との比較に一喜一憂するのではなく、自社は昨年より上がったのか、今の計画は十分か、改善の余地はどこにあるかを明確にしていくことが重要であって、それを積み上げていくことで、人が育ち、安全性が向上します。
私たちは、調査会社ではありません。調査結果をもとに作った事業計画にPDCAをまわしていく「コンサルティング会社」です。エンゲージメント調査結果をもとに、経営計画とマネジメントにどう反映し、どう生かしていくのか、そして、結果はどうだったのか、その旅路に責任を負っています。
原子力の現場では、対面が基本で、何よりチームワークが重視されますので、日経の記事は「わが意を得たり」という気持ちですが、それでも少子高齢化の昨今、原子力職場が今のままで良い訳はありません。
「介護」「子育て」等、家庭の事情には最大限配慮し、男性より圧倒的にコミュニケーション力が優れる女性が働きやすい職場を作っていくことが重要だと強く思います。
その意味では、早く、米国の優れた原子力発電所では当たり前となっている「週休3日」になっていくことが、男性も女性も、そして原子力安全にとっても、原子力安全文化にとっても効果的だと思います。
「週休3日」が原子力安全に与える好影響については、ここでは記載しませんが、もしお時間が許せば、過去の記事または「原子力安全文化の実装」をお読み頂ければ幸甚です。
、
さて、従業員のエンゲージメントを高めることが、世界の原子力にとって共通の重要事項であり、それをマネジメント手法として共通化した手法が「マネジメントオブザベーション(MO)」です。
MO研修で、いつもお話しさせて頂いている内容で、「しつこいよ!」と思われる方も多いかと存じますが、あえて書かせて頂きます。
『原子力安全の向上には「笑顔」と「雑談」が重要です』なぜならば、それがコーチングの基本だからです。
ティーチングだけではだめです!、単なるコミュニケーション活動だけでは足りません!
しっかりと「MOコーチング」を活用していきましょう!
なぜならば、WANOトレイツに示されるように「安全を強化するコミュニケーション」が世界標準(世界共通のルール)だからです。
「日本の原子力職場は、みんな笑顔で、活気があって、エンゲージメントが高いねえ!」と世界の仲間が驚くまで、あと少しです。国も事業者も協力企業もみんなで歩調を合わせて、「高いエンゲージメント」の維持・向上に向けて、一歩一歩、進んでいきましょう!
ご安全に。